館ブログ

08 07

投稿者: sakuragawa
2021/08/07 16:29

いきいき桜川・浮世絵セミナー、森山先生より
お家で浮世絵を楽しもう第7弾をいただきました♪




 ↓ ↓ 以下全文掲載 ↓ ↓


【浮世絵でたのしむ江戸のあれこれ】

令和3年8月吉日




厳しい暑さが続いておりますが、暦のうえではまもなく秋を迎えます。いかがお過ごしでしょうか。

先月に続きまして読み物をご用意しました。引き続きお付き合いいただけますとうれしく存じます。

 

今回ご紹介するのは歌川広重の「名所江戸百景」より「市中繁栄七夕祭」。なぜ今さら七夕の浮世絵を?とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、七夕は秋の季語。旧暦7月7日は今年の暦ですと8月14日にあたり、立秋(8月7日)を過ぎてからの行事なのです。

七夕は中国の風習に日本の信仰が合わさって五節供の一つとして古くより行われ、『萬葉集』にも七夕の歌がたくさん載っています。そして江戸時代には庶民に広く普及したとされます。



さて、浮世絵をよく見てみましょう。眼下に家並みが広がり、正面には富士山、そして空には鮮やかな笹飾りが描かれます。今は個人のお宅でこのような立派な笹飾りを建てることはあまりないように思いますが、江戸後期に著された『守貞謾稿』には次のような記載があります。「江戸にては、児ある家もなき屋も、貧富大小の差別なく、毎戸必ず青竹に短冊・色紙を付して、高く屋上に建つること(中略)しかも種々の造り物を付するもあり。」子どもがいる家もそうでない家も、貧富の如何に関わらず笹飾りを屋上高く建てたというのです。いかに笹飾りの数が多く賑やかであったか、よくわかりますね。

そしてこの笹飾りは7月6日に建てて、翌7日の夕方には取り払い川や海に流されたそうです。ほんのひとときの、まるで夢のような光景を広重は描いたのです。空を覆うように一斉に各戸に建てられた笹飾りは、まさに江戸の泰平、そして繁栄のあかしといえましょう。

ところで江戸の名所を描いた「名所江戸百景」のうちの一枚でありながら、この絵には具体的な地名は記されておりません。一説には、現在の京橋一丁目付近にあたる大鋸町(おがちょう)にあった広重の住まいからの眺めとも言われます。今から約160年前の七夕、それを見つめる広重の心はどのようなものだったのでしょうね。

https://www.artic.edu/artworks/196796/the-city-flourishing-tanabata-festival-shichu-han-ei-tanabata-matsuri-from-the-series-one-hundred-famous-views-of-edo-meisho-edo-hyakkei

 

画像はシカゴ美術館のものです。上記のリンクから拡大してご覧いただけますので、どうぞじっくりとご覧ください。拡大していただくと一つ一つの七夕飾りがよく見えますので、そこに込められた願いを想像するのも楽しいかと思います。

今回はこれにてお開きです。どうぞ御身お大事にお過ごしくださいね。またお会いできる日を心待ちにしております。


「浮世絵セミナー」講師 森山暁子 



※リンク先は英語表記になっています。

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