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桜川

いつもとちょっと違う浮世絵の楽しみ方・・・かも?

いきいき桜川、「浮世絵セミナー」の森山先生より
お家でじっくり楽しめる浮世絵に関する読み物を寄稿していただきました。
リンク先はメトロポリタン美術館のホームページ(英語表記)になります。
メトロポリタン美術館のホームページでは、
浮世絵の部分をクリックするとさらに拡大して見ることができるので、
いつもとちょっと違う浮世絵の楽しみ方をぜひどうぞ♪

↓ ↓ 以下全文掲載 ↓ ↓

【浮世絵でたのしむ江戸のあれこれ】
令和3年2月吉日

立春を迎え、暦のうえで春となりました。いかがお過ごしでしょうか。
残念ながら浮世絵講座はお休みを頂くこととなり、代わりに少しばかり読み物をご用意しました。お付き合いいただけますとうれしく存じます。
さて、今回ご紹介するのは鈴木春信が描いた一枚。題名は記載されていませんが、通称として「夜の梅」としましょう。今から250年ほど前の作品です。

見事に咲く白梅のもとに佇む美人。手燭を持ち見上げていますが、闇夜でも梅の香が漂ってくるのでしょう。「花の兄」ともいわれる梅は春の訪れを告げる花であり、可憐に咲く姿もさることながら、その香りは格別。『古今和歌集』には「春の夜の闇はあやなし梅の花 色こそ見えね香やはかくるる」(色は見えずとも香りは隠しようもない)という歌も収められています。
ところで、この浮世絵はなんだか不思議な感じがしませんか?彼女の足元が床から浮いているのです。しかし拡大してよく見ていただくと、足元の白い部分には空摺(からずり/絵具を用いず凹凸をつける)で襦袢と足袋が表現されています。袂や襟の白い部分も同じく空摺が用いられております。お陰でふわりと清らかな質感が伝わるようで、早春にふさわしいように思います。
画像はメトロポリタン美術館のものです。以下のリンクから拡大してご覧いただけますので、どうぞじっくりとお楽しみください。

 https://www.metmuseum.org/art/collection/search/41057?searchField=All&sortBy=Relevance&where=Japan&what=Prints&ft=plum&offset=0&rpp=80&pos=25

今回はこれにてお開き。またお目にかかりますことを楽しみにしております。

「浮世絵セミナー」講師 森山暁子

※リンク先は英語表記になっています。モニターによっては裾や足袋など見えづらい部分があるかもしれません。