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浜町

大規模改修

昨年9月から始まった浜町会館全体の大規模改修のうち、敬老館部分は7月で終了となります。新築された桜川敬老館の流れもあり、建て直しでないとしても、リニューアルされて少しは新しくなると利用者の中ではほのかな期待を抱き続けていた方もいたと聞きますが、今回は設備関係の改修で、見た目はあまり変わりません。

しかし現場最前線の人間としては、この改修の一部始終を目の当たりにし、これがどれだけ重要な工事であるかが良く分かります。目に見えないものにこそ大切なことがあると実感しています。

私が浜町に来るようになって5年が経ちましたが、当初から冷暖房の不安定さは問題視されていました。最初に目を付けたのは耐用年数の迫った熱源機です。中央区の対応は非常に早かったので、数年と待たずに、冷温水機は更新されました。これによりエネルギー不足は解消されたと言えます。

所が今度はバランスが悪い。冷暖房諸共、効くところと効かない所の差が激しい。ノズルやファンコイルといった送風機の設置場所が、経年のうちに、実際の利用スペースの環境とずれてきてしまっていたのです。

ここから長く寂しい戦いが始まりました。幸運なことに、エアハンの加湿機は他に比類ない強力なもので、とりわけ施設管理者が必ず頭を痛める真冬の乾燥地獄には、さほど目を配らなくても良い状態であることが分かりました。これは本当にラッキーでした。

しかしながら冷暖房が動く度に聞かれる、あちらは暑い、こちらは寒いの声。現場に行くと確かにその温度差は誰にも分かるほどのレベルにありました。

私はこの施設で、空調の自動温度設定を行った事がありません。常時監視を行い、リアルタイムでの温度調整と各所での風量調節を続けてきました。最初のうちは「仕方ないでしょう」「切りないでしょう」との忠告も受けましたが、一度気になると止める事が出来ない。そのうち皆呆れてしまって、誰も何も言わなくなったので、開館から閉館迄、ずっと温湿度計との睨めっこが続いたのです。

今回の大規模改修はそれら長年の鬱積を全て打ち払うべく、エアハンからダクト、送風機に至るすべてを一新します。それと同時に、吹き出し位置の改善、送風機の増設、付随する電気配線の敷き直し(これがまたカオス)、エアハン本体の更新を行います。

特にエアハン本体、旧機はRA(戻り風)がメインであり、OA(外気)量は限られていたのですが、今回の機器はRAなしで全てOAになるとの事で、コロナなどのウイルス対策も万全です。EA(排気)は末端の排風機に取って代わり、従って各排風機の馬力も上がっています。もうこれだけの改善だけでも現場としては大拍手なのですが、残念ながらこれらは目に見えるものではありません。

大規模改修が終わった後、これら効果の実態を皆様に知らしめるのは我々の仕事だと自負しています。クリーンと快適と、それらが生み出す平和なひととき、“物”よりも大切なものは何なのかを実感していただきたいと思います。

令和5年6月 貞嶋